β(ベータ)グルカンとは?

β-グルカンの基本

β-グルカンとは、キノコや酵母に多く含まれる多糖類で食物繊維の一種だ。免疫力を高める効果によってガン細胞を減らすために、がんの予防だけでなく、転移予防や再発防止にも効果があるとされている。

成分としてβ-グルカンが発見されたのは1940年代だが、今日に至るまで世界中で成分と原料の研究が続けられ、β-グルカンの効果がより明らかとなってきている。

β-グルカンは、キノコや酵母などの細胞壁に抽出精製できる成分で、摂取しても胃腸で消化・分解されず、小腸内で免疫力を担当する細胞に働きかけることで効果が発揮される。

β-グルカンの構造

β-グルカンは、水素と炭素と酸素から出来ていまる。水素と炭素と酸素の原子が結合してできたグルコース(ブドウ糖)の分子が、数多く結びついた構造がβグルカンだ。この分子の結合が「β結合」という形状であることからβ-グルカンという名前になのだ。グルカンは構造の違いによって、大きく2種類のαグルカンとβグルカンに分類される。でんぷんなどのグルコースもグルカンの一種だが、結合の形がα結合なのでαグルカンに分類される。他にもグリコーゲンやデキストリンもグルカンの一種と分類されるが、βグルカンとは違う物質に分類されるためにβグルカンと同様の効果効能は望めない。

β-グルカンの呼び方

本来は成分の名称であるβグルカンだが、近年はパン酵母から抽出した純度が高い製品である「パン酵母ベータグルカン」製品を単に「ベータグルカン」と呼ぶこともある。パン酵母原料の製品でも内容成分のβグルカンには大小があるので、成分内容の詳細を確かめる必要がある。

販売されている製品の量と成分としてのβグルカンの量は、必ず「製品量>βグルカン」の大小関係が成立するはずなので簡単に確認できる。

(成分の量に齟齬があるのは偽装された製品と言える。)


β(ベータ)グルカンの歴史とは?

β-グルカンによる民間療法

β-グルカンという成分が発見される遥かに昔から、人類は経験的にβグルカンの効果効能を知っていた。世界各地に伝承されている病気に効くキノコの多くは、キノコに含まれているβグルカンの効果が発揮されたものだ。
これらの長い歴史によって、キノコを利用した病気治療に対して信仰が篤いのだ。

1940年代にパンの酵母であるイースト菌から抽出されたかなり純度が高い状態に精製された物質が、キノコより免疫活性に優れていることが発見された。この物質はザイモサンと呼ばれ、後にβグルカンであることが判明するのだが、当時の分析技術ではまだ成分詳細が把握されてはいなかった。

β-グルカンの発見

抗がん効果が高かったために、米国を中心としてパン酵母から抽出したサプリメントをがん治療に利用する人が増え、関連する研究も深まった。そして、1960年代にテューレーン大学のニコラス・ディルジオ博士が成分詳細を解明し、「β-1.3Dグルカン」と名付けた。

β-グルカンの測定と検量

1980年代から2000年代に掛けては、パン酵母を原料とするβ-グルカンの精製度が高まり、世界中で抗がん治療への利用者が増えたことから増産が拡がった。
さらに、抗酸化作用も注目を集め、放射線被爆した造血機能を回復させる効果にも着目されている。

β-グルカンの抗がん剤

日本では、既に抗がん剤承認されているレンチナン、クレスチン、ソニフィランが、それぞれにシイタケ、カワラタケ、スエヒロダケを原料としてβグルカンを抽出した抗がん剤だ。


β(ベータ)グルカンの効果効能とは?

免疫力を高める効果

β-グルカンは免疫細胞を活性化し、免疫力を高める効果があるとされている。体外から入ってきた外敵であるウイルスや病原菌を撃退し、病気から体を守る働きがあるのだ。

この働きは体内のがん細胞に対しても有効で、β-グルカンによって活性化した免疫細胞が がん細胞を減らす抗がん作用の効果が注目されている。

β-グルカンはキノコに多く含まれていることが知られていたため、キノコの中でも特に、サルノコシカケ科(霊芝)、シメジ科(ハタケシマジ)、ハラタケ科のキノコを利用したサプリメントががん治療に利用されてきた。含まれている成分のβ-D-グルカンが、ガン細胞の抑制に働くからだ。

この健康効果を期待されて、古くからサルノコシカケ科の霊芝や、ハラタケ科のアガリクスなどのキノコが、生薬・漢方薬として利用されてきたのだ。昨今では、これらのキノコを原料としたサプリメントや健康食品として利用されることも多い。

また、近年には酵母菌からβグルカンを抽出する技術が著しく進歩したことで、より質の高いβグルカンの低価格化が進んだ。

抗アレルギー効果

βグルカンは、免疫システムが過剰に機能しているアレルギーに対して、免疫機能の平滑化によって、アレルギー反応を抑制する機能がある。

抗酸化作用

βグルカンを食すると、体に悪影響を及ぼす体内の活性酸素やフリーラジカルが除去される。これによって、老化防止だけでなく、成人病予防にも効果が発揮される。
この抗酸化作用を応用した「放射線被爆したマウスで造血機能を回復する」という実験論文も発表されているため、放射線がん治療との併用にも効果を期待される。

腸内環境を整える効果

食物繊維の一種であるβ-グルカンには、腸内環境を整える働きがある。腸内に存在する異物や宿便などの不要物質をβグルカンが排除してくれるので、便秘の予防や改善に効果が高いのだ。
便秘の改善は大腸がんの予防に非常に効果的だ。


β(ベータ)グルカンを摂る方法とは?

β-グルカンは椎茸(シイタケ)や舞茸(マイタケ)などのキノコ類やパン酵母などの酵母に多く含まれている。少量ならこれらの食品からβ-グルカンが摂取できるが、大量に食するにはサプリメントや健康食品の利用をすることが手軽であり、即効性もあるだろう。

β-グルカンを摂るタイミングとしては、空腹時が効果的である。これは小腸の内壁にある免疫細胞にβ-グルカンを作用させるために、腸が空に近い空腹時が適しているからだ。

β-グルカンは大量に摂取した場合でも、β-グルカンは通常の食材に近い食物繊維成分なので、特に大きな健康被害や副作用のリスクは少ない。しかし、質の悪い不純物の多い粗悪品の場合には、不純物が引き起こす事例が多いので注意したい。

β-グルカンは食物繊維の一種であるため、消化されずに腸まで届く。そのため、消化器官内のコレステロールを吸着して体外へ排泄する働きがある。これによって、ダイエット効果だけでなく、体内や血中のコレステロール値上昇を抑える効果もある。
血中のコレステロール値が高くなると、血管にコブができ、血管を細くして、血液の流れが悪くなる。その結果、動脈硬化を引き起こす。また、コレステロールが増えすぎると、脳卒中や高血圧を進行させてしまう原因になるから危険なのだ。

コレステロール値を正常に保つには、悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを増加させることが重要だ。悪玉コレステロールが増加する第一の原因は肉やバターに代表される動物性脂肪の多い食品を過剰摂取することだ。だから、低脂肪の食品や食物繊維の多い野菜類などを食べることで、コレステロールが上昇しないような食生活を心掛けることは、健康を守る基本なのだ。摂り過ぎたコレステロールを除去してくれるβグルカンの効果は現代人には非常にありがたい。


β(ベータ)グルカンを食べるには?

β(ベータ)グルカンは食事やサプリメントで摂取できる。

β(ベータ)グルカンを含む食品とは

  • マイタケ(舞茸)
  • レイシ(霊芝)
  • はたけしめじ(畑シメジ)
  • ハナビラタケ(花びら茸)
  • カワラタケ(瓦茸)
  • チャーガ(カバノアナタケ)
  • パン酵母(イースト菌)

βグルカンを摂るべき人とは

  • 免疫力を強化向上させたい人
  • アレルギー症状を予防改善したい人
  • 癌(ガン)を予防・治療したい人
  • 癌(ガン)の再発・転移が不安な人
  • 高コレステロール値が気になる人
  • 高血圧、糖尿病が気になる人

ただし、キノコや酵母をそのまま食べてもβグルカンは免疫細胞にほとんど吸収されない。βグルカンの分子とマクロファージが接触できないからだ。

早急な体質改善や治療が必要な場合には、精製されたサプリメントや健康食品の利用が効果的だ。
ただし、高価過ぎるキノコ系健康食品は避けるのが賢明だろう。今なら酵母抽出のベータグルカンが質も良く、価格も低下している。